静岡地方裁判所 昭和42年(わ)345号 判決 1967年11月21日
本店所在地
熱海市熱海七十番地
被告人会社
株式会社 暖海荘
右代表取締役
西島富造
本籍
熱海市東海岸町十二番二七号
住居
同 市熱海六十八番地
会社社長
西島富造
大正八年二月六日生
右の者らに対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官山中朗弘関与取調べのうえ、次の通り判決する。
主文
被告人株式会社暖海荘を罰金三百万円に処する。
被告人を懲役八月に処する。
但し、この裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告株式会社暖海荘は、熱海市熱海七十番地に本店を有し、旅館業を目的とする資本金四千八百万円の会社であり、被告人西島富造は右会社の代表取締役として同会社の業務一切を統轄しているものであるが、被告人西島富造は被告会社の業務に関し、昭和三十九年九月一日より昭和四十年八月三十一日に至る事業年度の法人税をほ脱しようと企て、従業員の給科を水増し計上する等の方法により所得の一部を隠匿し、同事業年度における所得金額が三千五百三十四万一千八百八十六円、これに対する法人税額が千二百十万六千八百六十八円であつたのに拘らず、昭和四十年十一月一日、所轄熱海税務署において同署長に対し、所得金額百二十五万三千七十七円、これに対する法人税額が零である旨過少に記載をした虚偽の法人税確定申告書を提出し、よつてその差額千二百十万六千八百六十八円の法人税をほ脱したものである。
(証拠の標目)
一、野中三千男作成の告発書及び脱税額計算書
一、小長井弘作成の証明書二通
一、浅野鉦一及び山田昭各作成の現金有価証券等現在高確認書
一、伊佐治弘司及び浜口昌彦各作成の調査報告書
一、大沢政勝、石原健臣及び中村義一作成の各上申書
一、西島智恵子作成の上申書
一、同人の検察官に対する供述調書及び同人の大蔵事務官に対する質問てん末書三通
一、野口金作、今堀勉、西島桂吉、猪俣恒雄、日比野久子、三浦美智子、佐藤福子、大木初江、西川哲子、片倉照江村田ふさ江、横山トヨ子、田代リキ、熊田陽子、熊谷博子、神長あや子、泉キミ子、石原フデ子、大塚テル、星名ふみ江及び春日まさ子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、押収に係る総勘定元帳一綴等(昭和四二年押第九四号の1乃至48)
一、被告人西島富造の当公判廷における供述
一、同人作成の上申書三通
一、同人の大蔵事務官に対する質問てん末書一五通
一、同人の検察官に対する供述調書二通
(法令の適用)
法律に照らすと被告人の判示所為は法人税法第百五十九条第一項に該当し、被告人会社の判示所為は同法第百六十四条第一項(第百五十九条第一項)に該当するので主文の第一、第二項掲記のとおりそれぞれ量定処断し、被告人については情状により刑法第二十五条によりこの裁判確定の日から二年間右懲役刑の執行を猶予する。
よつて、主文の通り判決する。
(裁判官 相原宏)